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税務署に提出する「一筆」の恐ろしさ

毎年9月から11月末までは税務調査が多い時期であり、この期間は税務官も自身のノルマ達成と成績アップをすべく、毎日鼻息荒く過ごしている事でしょう。
逆に、税務調査通知が来て、生きた心地がしない毎日を過ごしている納税者もいらっしゃることと思います。

本日はそんな税務調査の最終局面でやり取りされる「一筆の攻防」についてお話ししたいと思います。

税務調査が終了し、不運にも何らかの申告漏れが見つかって修正申告する事になった場合、調査官から「一筆書いて下さい」と依頼されるケースがたまにあります。
書類の題名は、確認書、てん末書、申述書などの類が殆どですが、簡単に言うと「反省文」です。
大抵は、調査官自身が文章の下書きをしており、それを納税者に自筆で清書させ捺印をしてもらう流れになっています。

つまり、「申告漏れをしてしまい申し訳ありませんでした」という事を書面に残そうとするわけですね。そしてその時、調査官は反省文を出せば処分が軽くなるようなことを匂わせるかもしれませんが、騙されてはいけません。
そもそも「ごめんで済めば警察はいらない」わけでして、税務官としては後日加算税をかける際に、納税者が後で不平不満を言い出さないようにするために一筆を取りたいのです。




100%証拠がある場合は「一筆」を取らない事がありますが、証拠が不十分だったり証明ができない場合には、先手を打って一筆を取っておくんですね。そうすると、納税者自身がすでに申告漏れを認めているという事になりますので、税務署側にはかなりのメリットになります。

また、調査官はあたかもその一筆を納税者が提出するのが当たり前のように言ってきますが、提出は強制ではありません。よって断固拒否で問題ありません。
実際に国税庁から、下記の通知が出ています。
「読み上げ・提示の後、回答者から回答内容に誤りがないことを確認した上で、その旨を証するため、末尾に「回答者」と表記した右横のスペースに回答者の署名押印を求めることとなるが、署名押印は回答者の任意で行うべきものであり、これを強要していると受け止められないよう留意する。」

一筆の提出を拒否する事で悪い影響があるのではないか?と思う人が沢山いると思いますが、その様な事はありません。逆に最近は税務官もダメもとで依頼をしてくるケースも多く、拒否をしてもその後に何ら影響するものはありません。

顧問税理士が同席している場合には、その様な書類には一切サインをさせないと思いますが、納税者のみで対応している場合、調査官の誘導にはまってしまいサインをする事がよくあります。
しかし、後日何かしらの間違いや言い分が出てきたとしても、その一筆を出している限り、調査結果が覆ることも、納税者の意見が税務署に届くことはありませんので、絶対に拒否をするべきでしょう。