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不動産賃貸経営の法人化について

■なぜ賃貸経営を個人ではなく法人でするべきなのか?

個人の所得税率が上がる一方で、法人税率は下がっています。これは簡単に言うと、「法人からは沢山税金を取らないけど、個人からは沢山取りますよ!」という事に他なりません。

投資業に限定するなら、個人事業として最も多い事業の種類は「不動産賃貸業」と言えるでしょう。この不動産賃貸業などはまさに、法人化することで節税のメリットが受けられる事業と言えます。

弊社のお客様でも、賃貸経営をされている方が非常に多く、日々様々なご相談を頂きます。日本が今後ますます少子高齢化に向かう事や、オリンピックを境とした不動産価格下落の可能性、貸主に不利な法律がどんどん増えている事などを踏まえますと、「不動産は一刻も早く売却してキャッシュ化するべき」とアドバイスしたいのは山々ですが、諸事情により売却ができないケースもありますので、そういった場合においては「賃貸経営の法人化」を積極的に勧めています。


■具体的なスキーム

法人を設立したのち、賃貸物件の所有者(※Aさんとします)が、その法人に物件を売却します。
つまり、Aさんが法人に一旦お金を貸し付けるものの、それはすぐに元々の所有者であるAさんに戻ってきます。

自分のお金で自分の物件を購入するようで、なんとも奇妙に感じるかもしれませんが、これが一般的に使われている収益移転スキームです。

注意点として、法人に高く売却をしてしまうとAさんに譲渡税が課税されますので、それを回避するための売買価格の調整が必要になります。

Aさんが法人に貸し付ける資金が無い場合、法人が銀行から融資を受けるという選択肢もあります。新設法人でも、返済原資が明確であれば銀行から融資を受けることは可能です。
また、法人を設立する際に、妻や子供など親族を役員にすることで、今まで支払っていた税金を何割も少なくすることが可能になります。さらに同様に妻と子が株主になっておく事で、将来の相続税も節税する事ができます。




■実は難しくない法人設立と運営

法人経営というと、多くの人が難しく考えがちですが、個人事業と比べて手間はさほど変わりません。むしろ、経営分析やキャッシュフローがクリアになり、法人化することでより運営自体が簡単になる事があります。
事実、多くの方が実際に運営してみて、「こんな事ならもっと早く法人化するべきだった」と言います。

私がコンサルティングする場合、法人設立の準備から銀行口座開設、その後の税務顧問も含めて対応させて頂きますので、お客様に法人設立の際に実際に行っていただく業務は殆どありません。

注意点として、法人化する事で法人設立費や決算料などが掛かりますので、現在の家賃収入と経費のバランスを考えながら検討する必要があります。 しかし、個人では認められなかった経費が認められるようになるので、トータル的に考えると実際には節税になるケースが殆どです。



■法人化する最大のメリット

また、所有している不動産を子や孫に相続する可能性がある場合、法人化する事で別の面のメリットが生まれます。
それは、「将来不動産を引き継がせる人に不動産賃貸経営の教育ができる」という事です。
子や孫を法人の従業員、または役員にする事で、実際の業務に携わらせ、賃貸経営のイロハを勉強させることができます。
当然その対価として給与や役員報酬を支払うことが可能ですし、それらは損金として算入できますので、法人の節税にもつながります。

すでにお伝えした通り、法人運営の業務は左程ありませんので、子供がサラリーマンなどでどこかの企業に勤めていても、片手間に行う事が可能です。

不動産の相続(特に賃貸物件の場合)において一番重要な事は、相続税を抑えるという事よりも、むしろ相続される人の教育かもしれません。
どんなに良い不動産物件を相続しても、相続される人に運営ノウハウがなければ物件を管理維持するのは不可能でしょう。それならば、売却してキャッシュで渡してあげた方がもらう側にとっても助かるというものです。

個人事業の場合でも、相続人に対して運営ノウハウの教育が不可能なわけではありませんが、法人化する事で対外的に見ても「企業運営性」が高まるのは間違いありませんし、個人事業では利用できない節税スキームなどについても同時に学ぶことができ、一石二鳥とも言えるでしょう。