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パーマネントトラベラー

■永遠に旅をつづける者

パーマネントトラベラーとは、通称「P・T」と言われます。別名「終身旅行者」。
最近はパナマ文書の影響で、雑誌などでも取り上げられるようになりましたのでご存知の方もいらっしゃると思います。
一言で言ってしまうと「どの国にも税金を支払う必要がない人」です。

多くの日本人は日本に居住しています。そして、日本に居住している限り日本から課税されます。
これは日本に「課税権」がある為で、この課税権を回避しない限り日本から課税され続けることになります。
課税されないようにするためにはP・Tになるしかありません。

では、どうすればP・Tになれるのか?

① 一定の国に住所を持たない事。
② 一定の国で課税される期間以上は滞在しない事
③ 本人のみならず妻子も一定の国で課税される期間以上は滞在しない事


大きく分けてこの3つがP・Tになる為の条件です。
もう少し専門的な話をさせて頂くなら、「恒久的施設を有するかどうか?」などの具体的な判断材料が出てくるのですが、結局のところ最終的には税務当局の見解によって左右してくるようです。

一般の人には非常にハードルが高い条件ではありますが、もしP・Tになれれば、日本からの課税を回避でき、税金面ではかなりのメリットを享受する事ができます。

どんなメリットがあるのか考えてみましょう。


■無敵のトラベラー

例えば、ある日本人がニュージーランドに不動産を購入したとします。そして3年後に売却し、売却益が100万円出たとします。
その人が日本居住者である限り、この100万円の利益は短期譲渡税に該当し、約39%もの税率で課税されてしまいます。つまり、この場合約39万円を日本に納税する必要があります。

しかし、P・Tになる事によりそれらの税金を支払う必要がなくなります。日本にもニュージーランドにも支払う必要がありません。

また、シンガポールでファンドを購入し、その利益が100万円出たとします。これも同様に日本居住者なら日本で納税する義務がありますが、P・Tにはありません。もちろんシンガポールにも納税する必要がありません。

一定の国に一定期間以上の滞在さえしなければ、こういった税金のメリットを享受する事ができます。

P・Tとはすなわち、どこの国にも属すことなく、自分が住むための自宅を持たず、相続税もしかり、贈与税もしかり、所得税すら支払う事なく、永遠に旅行を続けている旅人なのです。


■高いハードルを越えた者だけに与えられる唯一無二の恩恵

潤沢な資産があり、高額所得がある人にとっては、まるで夢のようなスキームだと思われるでしょう。
しかしながら、そのハードルは非常に高く、誰にでも越えられるものではありません。
特に、P・Tになる条件の③にある「本人のみならず妻子も一定の国で課税される期間以上は滞在しない事」という条件は、非常に過酷なものです。

自分だけならまだしも、妻子まで永遠に旅行者にしてしまう事に、常識のある人間なら二の足を踏むでしょう。特に子供の教育の事を考えると、数ヶ月単位であっちの国こっちの国と、転校を繰り返す状況を良いと思うはずがありません。

P・Tになれば税金というルールから解放されるわけですが、それは言い換えれば、一ヶ所に留まり続けられないという別のルールに縛られる事でもあるのです。

ただ、独身者や既婚者で子供がいない場合は、お金と度胸さえあればP・Tになることは左程難しくないでしょうね。

信じられないかもしれませんが、現にP・Tとなってどの国にも税金を納めていない人がいます。
永遠の旅人である彼らは、今日もどこかで、明日の荷造りをしているかもしれません。