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平成26事務年度における東京国税局の相続税調査の状況

国税局、税務署が平成26事務年度(平成26年7月から平成27年6月までの間)に実施した相続税の実地調査の件数は3,228件、このうち申告漏れ等が見つかった件数は2,424件で調査件数のうち75.1%となっています。
すべてが故意的な脱税ではないにしろ、申告漏れ割合が高い背景には、実地調査前の税務当局の周到な事前準備が伺えます。
ここ10年間、申告漏れのヒット割合が7割を下回ったことはありませんから、調査員たちの執念の賜物と言えるでしょう。

■申告漏れ金額
気になる申告漏れ課税価格ですが、総額で911億円となっており1件当たりで2,823万円となっています。

■申告漏れ財産の内訳
次に、申告漏れ相続財産の金額の内訳ランキングを見てみましょう。

1位:有価証券(251億円)
これは、個人が所有していた株式などの評価額に対して指摘されていることが伺えます。
自社株などの評価額に対して、申告者側と税務当局側との間で相違が生じるのはよくあるケースです。
特に未公開企業株の場合、上場株と違って株価査定が面倒ですので、株価に対して指摘を受けることがよくあります。

2位:現金・預貯金など(244億円)
「現金で隠せばバレないのではないか?」と考え隠匿する人が多いようですが、税務署は相続人、被相続人、さらには親族や関係者の通帳まですべて調べます。
つまり、被相続人名義以外の口座(名義預金)にお金を入れても、税務署は入出金伝票の筆跡までチェックしますので、100%把握されると考えたほうがいいでしょう。
また、不動産を売却した代金を自宅金庫で保管したとしても、売買契約書と銀行口座を照らし合わせると預貯金の増減は簡単に確認でき、どこかに資金が隠れているのではないかと疑問を持たれます。
実地調査においても、通帳の保管場所は必ず確認しますので、そういった「宝の山」から、隠した現金や預貯金が見つかることは多々あります。

3位:土地(99億円)
土地の相続税評価額は路線価をもとに計算をされますが、申告者側と税務当局側との間で相違がよく生じます。
接道状況や高低差、隣接地の利用状況などによって、評価額を減額できるため、相続人は少しでも評価を下げる要因を集め、その上で評価額を下げて申告しますが、意外にも税務署から簡単に否認されることがあります。
勿論、交渉の余地はあるのでしょうが、不動産が専門ではない税理士が税務署と戦うことは少なく、結果として税務署の指摘通りに評価を修正することはよくあります。



■追徴税額(加算税を含む)
申告するべき金額とは別に、追加で徴収された金額は245億円となっており、1件当たりで760万円(平成25事務年度569万円)となっています。

■重加算税
納税者の仮想隠蔽などで重加算税が適用された件数は240件となっています。
申告漏れ件数が2,424件あったのに対し、およそ1割の240件が仮装隠蔽(※意図的に隠すこと)として指摘されている訳ですので、故意的な脱税をする人が意外に多い事がわかります。

次に、皆様にとって特に興味のある、海外資産への課税漏れについてです。







1件当たりの漏れが大きい海外資産について、税務当局はここ数年特に力を入れています。
一昨年には、富裕層対策プロジェクトチームが発足し、英語の得意な職員を抜擢して対応にあたっている事からも、税務当局の思惑が見て取れます。
銀行との連携によって、海外へ送金した履歴はすべてチェックし、2014年から始まった国外財産調書によって調査の効率も上がり、富裕層にとってはもはや逃げ道のない状況が続いています。

このような状況から、慌てて日本に資産を戻す資産家も増えているようですが、今後も調査件数は増えていくことになるでしょう。